歴史人口学で見た日本〈増補版〉
タイトル:
歴史人口学で見た日本〈増補版〉
作 者:
速水融
発売日:
2022-05-20
出版社:
文藝春秋
説 明:
「日本の多様性」を見事に明かした名著!
磯田道史氏「速水先生と出会わなかったら、私の学者人生はなかった」
エマニュエル・トッド氏「別格の素晴らしさ。この偉大な学者の“技”のすべてが詰まっている」
著者の速水融氏は、慶応義塾大学、国際日本文化研究センターなどで教育・研究に携わった経済史家で、「日本における歴史人口学のパイオニア」。仏歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏も、「日本の歴史人口学の父」と称えている。
速水氏は1960年代に欧州に留学。当時、キリスト教会の洗礼、結婚、埋葬の記録簿(「教区簿冊」)を利用して、マクロの人口研究ではなく、結婚年齢、家族構成など、ミクロの人口研究(=歴史人口学)が活発に行われていた。これを見た速水氏は、江戸期の「宗門人別改帳」を使って、同様の研究が可能だと直感し、帰国後直ちに本格的な研究を開始(ちなみに結婚年齢、生年没年、家族構成までを記録した近代以前の史料が残っているのは、世界的に見て稀なことで、こうした史料は欧州と日本にしかない)。
『近世農村の歴史人口学的研究』(1973年)では、人別帳から一軒一軒、一人一人の記録を洗い出し、信州諏訪地方で直系3世代世帯からなる近世的世帯が形成される過程を明らかにした。また、詳細な人口統計の作成を通じて、18世紀中期に始まる人口停滞が、高い死亡率ではなく、出生率の低下に原因があることを示した。
『近世濃尾地方の人口・経済・社会』(1992年)では、詳細な個人の追跡調査を通じて、徳川時代にも農村と都市の間で恒常的な人口移動があったこと、農民の出稼ぎ先の変化から徳川中期以降、経済構造に変化があったことを示唆。
また速水氏は、世界史的なスケールで日本経済史を描き、古代文明の周辺に位置する西欧と日本の歴史過程は、「封建社会」を経験する点で共通すると指摘した。
本書は、速水氏の長年にわたる仕事のエッセンスをコンパクトにまとめたもので、「歴史人口学」の最良の入門書。と同時に、「歴史人口学で見た新しい日本史」。速水氏が学士院の紀要に寄稿した論文を新たに加えた増補版。
※本書は2001年10月に刊行された文春新書『歴史人口学で見た日本』に、特別附録として「歴史人口学ーー成立・資料・課題」を加えた増補版です。
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